文学部 国文学科 教授、学科主任
大橋 直義(おおはし なおよし)
OOHASHI Naoyoshi
専門分野?専攻 | 日本中世、つまり院政期から江戸時代初期までの書物と物語、文化現象の研究を専門としています。なかでも説話?仏教文学、歴史叙述に関わる文献学が中心です。これについては成立?書写時期を限定せず関心を持っています。また、寺社に関わる書物群(寺社縁起?絵巻?願文?表白?勧進帳および仏典聖教)を中心に、書物そのものを比較し、そのモノとしての成り立ちや移動の実態、社会における機能を捉える分析書誌学?目録学にも取り組んでいます。 |
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最近の研究テーマ等
○寺社縁起とそれに類した史料の総合的研究
寺社や仏像?仏具?法会の来歴を物語る史料を「寺社縁起」と呼びます。美麗な装飾料紙に記された願文や勧進帳、縁起絵巻はもちろんのこと、参詣曼荼羅や大画面説話画のように詞書を伴わないものも含まれます。これらの史料は、贅を凝らした書物である場合が多々あり、その寺社の歴史と信仰の根幹をなす貴重な文化財なのですが、実は、これらがどのように制作され、使用されたのか、ほとんど分かっていません。これまで、この種の史料について個別に検討を重ねてきましたが、現在は、中世以前に制作された寺社縁起類の全貌を把握するべく、その所在と基本情報を把握するための目録整備を進めています。
主な担当授業と概要
中世文学基礎演習Ⅰ/Ⅱ
お伽草子と呼ばれる絵巻?奈良絵本を扱う演習です。詞書本文だけではなく、その挿絵や画中詞(人物のセリフ)が示そうとする意図、また、その物語が成立した背景や、地域社会における意義も含めて考える授業です。
中世文学研究a/b
平安時代後期以後に制作された寺社縁起(絵巻)の一篇を取り上げて、『今昔物語集』等の説話集や、軍記物語、お伽草子、能や幸若舞曲などの芸能との関連を見すえながら、詞書と図像をともに詳しく読み解きます。
趣味?特技
テニスとラグビー観戦
博物館?美術館での展覧会観賞
古典籍?古文書収集
受験生へのメッセージ
「言葉の力」「物語の力」というと聞えはいいですが、じつは言葉や物語は、私たちの世界観や考え方を知らないうちに縛りつけている鎖のようなものです。そこから逃れ、自由な一歩を踏み出すためには、その物語の存在に気づき、読み解くところから始めなくてはなりません。ある物語がいかに人々を縛り、かつそこから逃れたのか、過去の言葉や物語を学ぶ意義はそこにあります。その意味において、国文学はまさしく未来のための学問です。皆さんの未来、またその次の時代の未来に向けて、国文学を共に学びましょう。