山崎亮
コミュニティデザイン?人がつながるしくみをつくる
学芸出版社、2011
普段何気なく使っている「デザイン」という言葉の表すこと、それに伴う行為について考えてみたことがありますか?
僕たちが扱っている人に関わる環境に関する「デザイン」とは、いわゆるモノをつくることだけに関わっている行為ではありません。人が快適に生活をするためには、人とモノとの関係を考えることだけではなく、人と人とのつながりも考えなければいけません。
人の生活する環境を作り出しているモノや建築、それらが集まって作り出される街は、それぞれ単独で存在するわけではなく、それぞれが相互に密接に関係し合って成り立っています。その関係を結びつけているのが、人ということなのです。もちろん、その人も単独では存在することができません。したがって、環境をデザインするということは、それらのつながりを考え、最適なつながりを作り出すということに他なりません。
著者は、いくつかのプロジェクトを通して、その実践をしてきました。その記録がこの本です。
「モノをつくるのをやめると、人が見えてきた」
「1人でできること、10人でできること、100人でできること、1000人でできること」
「デザインは社会の課題を解決するためのツールである」
など、実践をすることでしか見えて来ない言葉が、「デザイン」とは何かを考えさせてくれます。
モノをつくるまでに至る、またはモノをつくらない「デザイン」のプロセスが持つ意味を考えさせてくれる本で、これから「デザイン」に関わりたいと思っている人たちには刺激的な1冊です。(N. T.)