市川宏雄
文化としての都市空間
千倉書房、2007
感性工学という科目名の授業があります。私たちの感性を科学的に解明したり、解釈する分野です。今週は、文化的フィルターについて説明しました。
現代の科学技術の発展により高度な物質開発生産システムが生成され、結果として大量生産多量消費型産業社会が創り出されました。多くの人々がその恩恵に浴してきたのは事実です。しかし、今やこの産業社会も成熟期に入り、新たな課題(低炭素社会、ロハスな生活環境)に答えることが科学技術研究や生活環境学に求められています。 現在は、より豊かで安全な社会や暮らしを形成?維持するための新しい科学技術や文化の発展の時期といわれています。「感性」の多様な意味の中から、特に人間と人間、人間と環境の間で関わりあうことのできる能力、情報のやり取りや交換の能力(受信と発信の能力)、さらには、関係性形成能力の意味で「感性」という言葉を用います。この意味において、感性は社会を形成する人間の基本力であり、文化的行動能力ともいえるでしょう。
この本には、日本だけでなく様々な地域の暮らしやその文化的背景を紹介しています。海外旅行に行く前や行った後に読むことをお勧めします。(T. S.)