生活環境講座

第4回 街を見る 建築を見る 高田典夫
鳥の眼、虫の眼

 夏の終わりに娘と一緒に「親と子の写真教室/虫の写真を撮ろう」という催しに参加しました。先ずカメラの扱い方を教わった後にみんなで代々木公園まで行って虫を探しながら写真を撮ってしまおうというものです。
 公園の中の虫は思ったより見つけにくくて、セミの抜け殻くらいしか見つかりません。でもしばらくうろうろしているうちに視線が何となく虫を感じるようになりました。

 自分の姿を振り返ってみれば、姿勢は低く、歩き方はゆっくりと、そしてわずかな音にでも敏感になっていることに気づきます。まわりの参加者たちを見ても多かれ少なかれ同じようになっているのがわかります。

 改めて思うと、はじめの頃の視線はどちらかといえば「鳥の眼」であったようです。虫たちにとってみれば鳥に捕まってはたまらないという感じだったのでしょうか、出てこないはずです。それがだんだんと「虫の眼」になっていったのだろうと思うのです。ちょっとした変化が見えるようになりました。身のまわりの小さな自然を見つけるには、そのたたずまいになじまないとその環境が受け入れてくれないのでしょう。

 これからも「虫の眼」でまわりを見まわしていくと環境の微妙な変化、季節の移り変わりなどをもっと身近に感じることができそうです。

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 この文章は、数年前にあるミニコミ誌に寄稿した、ちょっと違った視点でものを見ることを書いたものです。(一部、抜粋)

街を見る目を養おう

 自分の住んでいる街をちゃんと見たことがありますか?毎日、通学などで通って目にしている街である日突然(のように)工事がはじまったり、空き地ができたりしたときに、ここはもとは何だったのだろうと思うことはありませんか?毎日目にはしているけれど、実はきちんと見てはいないということかもしれません。

 まちづくりに関わって、その街のことを考えようとすると、やはりその街のことをよく知らなければなりません。そこで、よく行われるのが「タウンウォッチング」です。「街歩き」とも言っています。いつも目にしている街を、少し違った視点で、あるいは好奇心をもって、問題意識を持って歩いてみると、全く違った発見があるように思います。

 私たちはありとあらゆる建築物にかこまれて生活をしています。そういう意味では、建築の勉強をするきっかけはどこに出もあるということかもしれません。私たちを取り巻いている街や建築を見る目を養うように、好奇心をもって、問題意識を持って普段歩いている街をもう一度歩いてはいかがでしょう。 (N. T.)