生活環境講座

第22回 ミニジャッキを自作する&ハンモックに関する考察 山崎和彦
1.ミニジャッキを作る

 先の大震災では我が研究室も大いに揺れ、金属製の本棚に歪みが生じた。扉が動かなくなったので、ジャッキで枠を持ち上げて外した。建て付けが悪いとき、鴨居をジャッキアップすると障子や襖の滑りがよくなることがある。そこで、自作できるミニジャッキを提案する。

 ボルトとナットを日曜大工用品店で購入した。ボルト(長)は下側用、ボルト(短)は上側用である。後者はディスクグラインダーによりネジ山を削いだ。これをナットに乗せ、さらに目的に応じた長さの棒材をあてがい、スパナでナットを回せば、相当な力で押し上げることができる。

 工具がなく、ボルト(短)の加工ができない場合、ナットの上に直接、棒材を乗せても機能するであろう。ただし棒材がナットと共に回転しようとするため、ダマシダマシ作業を進めることになるだろう。

 下側ボルトが回転しないよう、また床材表面を傷つけないよう、合板でベースを作り、ナットの形に合わせ彫刻刀で窪みをこしらえた。

2.ハンモックに関する考察

 ハンモックは優雅にみえるが、多くの問題を抱えている。重量物を2点で支えるため、吊す角度が水平に近づくほど大きな張力が発生する。室内に展開するとき、安普請であれば柱や壁に不具合が生じる恐れがある。樹木に結び付けることもあるが、彼らにとっては大いに迷惑であろう。

 高い位置に吊すとなれば乗り降りが困難である。人は静止しているわけではないので、揺れや衝撃による張力の増大について配慮する必要がある。どこかが破損すると落下する恐れもある。

 水平方向の張力を支えるものがない広場、ビルの屋上、砂浜、草原などでハンモックを展開したいとき、各場所に適した特別の構造物が必要となる。そこで大学院生のU君と「草原型」にトライした。

 日曜大工用品店で木製のクイ6本を求め、カケヤで地面に斜めに打ち込んだ。ロープを適当に巻き付け、綱渡りのように体重を掛けて揺らし、強度に問題はないことを確認した。

 さて、ハンモックが抱える最大の問題は、これに横たわると身体が屈曲するので決して楽ではないということである。かつて筆者はキャンプ用品店で購入し、喜び勇んで寝そべってみたら、ほどなく腰に不具合を覚えた。使い慣れた人々は満足しているのかも知れないが、寝姿勢にとって平面ほど有難いものはないと筆者は確信する。(K. Y.)