カラーデザインのための色彩学

著書の紹介

 カラーデザインのための色彩学

 槙 究著、オーム社、2625円(2500円+税)

 色彩学というのは、ニュートンのプリズムを使った有名な実験のように、「色」そのものを扱ったものが本流なのだが、この本では「よいカラーデザインをするには、どうしたらいい?」という素朴な疑問に答える色彩学を目指した。実は、この疑問は私が大学生の時に考えたものと同じものなのだが、近年の各種検定受験者の数などを見ると、デザインと関連した色彩学に対するニーズは相当あるように思う。
 実は、それに応えるべき色彩学の本は、相当な数が出版されており、しかも良書が多いと思う。日本は色彩学の勉強をする環境としては非常に恵まれている。にも関わらず色彩学の本を企画したのは、カラーデザインのプロセスと色彩学の知識を対応させた本はほとんど無いように思われたからだ。色彩学の知識をジャンルごとに分類して紹介するというのではなく、デザインのプロセスとリンクさせようという試みである。
 色の効果を把握し、情報を収集してデザインし、カラーシミュレーションなどを用いて案をチェックする。そういう流れに沿って本が構成されている。実は、この構成を思いついたときに、「行ける」と思った。もっとも、先日、日本色彩研究所の赤木さんの話を拝聴したとき、このような構成で話を進めておられたから、オリジナルと威張るほどのことでもない。反対に、同様のことを考える人がいるのだと思い、意を強くした次第である。
 図や写真を多用し(200枚以上!)、オールカラーとした。解説やコラムを用意し、論理的にも感覚的にも理解できるよう工夫した。チャレンジという演習問題も用意している。
 ...ということで、カラーデザインの腕前が上がる色彩学になったはずだと思うのだが、いかがだろう。

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