著書の紹介
環境心理学 ?原理と実践?(上巻)
R. Gifford著(羽生和紀、槙 究、村松陸雄監訳)、北大路書房、4800円+税
わずか半年あまりの間に、自分が関わった本が4冊。すごい出版ラッシュ。その最後を飾るのが、環境心理学の代表的な教科書のひとつである本書である。Giffordは2,700の本と論文から得た知識をまとめたと豪語しており、それだけの厚みを持った本である。私が『環境心理学 ?環境デザインへのパースペクティブ?』を執筆した際に、参考にするために読んだ本の一つで、その時、単純作業が好きというまれに見る才能の持ち主である副手のT嬢が、OCRで全ページをコンピュータに取り込んでくれた。村松さんから翻訳の話があった時、それを使うといいのではと送ったところ、うーん、何でだったかなあ。兎に角、監訳者もやることになってしまったのだった。
それからが大変。何しろ私は英語コンプレックスの塊。誤訳をしないようにするためには、辞書を引きまくらなくてはならなかった。自著の『環境心理学』には私の人生の2年を費やしたと言っているのだが、この本の翻訳には2、3か月を費やしているのではなかろうか。あと数年早く、このプロジェクトを村松さんが完成させていたら、私はどれだけ勉強が楽だったことか。しかし、そうなると私の本も出せなかったかもしれないから、痛し痒しか。
原本は一冊の本であるが、大部であるので、翻訳は上巻と下巻に分かれて出版される。上巻の8章は理論的な部分であり、下巻の7章は環境別の応用編の趣がある。本著の価値は、リファレンスにあると思う。環境心理学の全体像を把握するとか、主要文献を探し出すとき、特に役立つだろうと思う。
環境心理学 ?原理と実践?(下巻)
R. Gifford著(羽生和紀、槙 究、村松陸雄監訳)、北大路書房、5600円+税
お待たせしました。やっと下巻が出ました。上巻と下巻の内容の違いなどは、上巻の紹介をご覧ください。