著書の紹介
建築の色彩設計法
日本建築学会編、オーム社、3570円(税込み)
(第1章のうち1-4-4.色彩設計の事例(六本木ヒルズ)を執筆)
私が執筆を担当した本には、日本建築学会編のものが多い。ありがたいことに、執筆しないかというお誘いがあるからなのだが、この本は最初執筆を断った。というのも、学会から出す本は、それなりに権威を持たせる必要があるから、学会でコンセンサスを得ているオーソドックスな内容をベースにしてくださいという依頼を、以前関わった本で受け取っていたからである。
私が担当するとなると色彩調和論のあたりになるだろうと思うのだが、そこには役に立つセオリーがないので作りつつある最中なのである。オーソドックスな内容を書けば、自分の研究成果を蔑ろにする行為になり、とても私は許容できない。それくらいなら、自分が一人で出す本で、自由に研究成果を盛り込みたい。そう考えていたからである。
監修を担当したS氏は、そういった気持ちを酌んでくれたのか、それとも持ち前のソフトな応対のためか、無理強いは避けてくれていた。が...事例を紹介するのならいいだろう。ちょうど東京の事例で執筆者が決まっていない部分がある。そこをやってよ、と、そういうことになったので、それなら断る理由はないと、引き受けたのでした。どうもS氏の術中にはまっているような気もするのですが、いつもお世話になっている研究室の先輩に言われたことですから。ハイ。
というわけで、六本木ヒルズの色彩計画について紹介するページを執筆しました。
色彩計画をデザインの初期の段階から始めましょうというのが、メインメッセージですが、乾先生の「建築の色彩設計」以降の仕事の中では、一番まとまっている内容だと思いますので、建築の色彩に興味のある方は、ぜひ、手に取ってみて下さい。カラーだし、授業の副読本としても使えそうです。