源氏物語研究の
学際的?国際的拠点形成

源氏物語研究の伝統

学祖下田歌子による源氏物語の教育研究

 本学の学祖である下田歌子は女子教育の発展に尽力し、学校の設立などもおこなう中で自らも講義や和歌の指導を行ないました。学校では修身科を受け持って実践倫理を説き、講義は国文学、漢文学、家政学のいずれもが深い学識に裏づけられ、かつユニークな評説で定評がありました。中でも源氏物語の講義は、早稲田大学の坪内逍遙のシェークスピア講義と並ぶ名講義と言われており、これらの講義は記録され、一部が後に刊行されています(「源氏物語講義」首巻?第1巻(1934~1936年))。
 2002年には、草稿の状態で残されていた下田歌子の『源氏物語講義 若紫』を本学図書館が中心となって翻刻出版しました。

受け継がれる源氏物語研究の伝統

戦後も山岸徳平、阿部秋生、野村精一ら本学に所属した研究者が多くの源氏物語研究の成果を発表しました。さらに、本学は源氏物語に関する資料が黒川文庫、山岸徳平文庫、常磐松文庫等の世評の高い特色あるコレクションとして所蔵しています。

近年は将来を見据え、これまで文献研究の中心であった室町期の資料だけでなく、鎌倉期の資料も他の研究機関に先駆けて収集しており、源氏物語関連の古写本や古筆切等の所蔵数は世界でもトップクラスです。

研究成果の社会への発信

これらの研究成果を公開講座やシンポジウムの開催を通じて、積極的に社会に対して発信してきました。
中でも源氏物語が成立してから一千年とされる2008年に実施した「源氏物語千年紀記念講演会」、2014年に渋谷キャンパスに移転後初めて実施された「宮廷の華 源氏物語」は、多くの来場者が訪れ、源氏物語の興味関心を大きく喚起するイベントとなりました。