出版社:東洋書店
出版年:2010年11月
著者:日本建築学会編
発足当時からの問題意識は、「まちに居場所は増えたのであろうか?」というものである。その一例として、公開空地を上げることができる。公開空地とは、ビルを建てる際の容積率の緩和によって生まれる足下空地のことである。本来は、通行はもちろん、誰もが自由に利用できる広場のような場所になるはずであった。しかし、実際はガードマンが立ち、禁止事項が山のようにあり、ほとんど利用されていない空地がほとんどであった。都市は時代の進歩とともに便利になり、きれいになってきたと実感はできる。だが、人々が「思い思い」にいられる場所は増えていないのではないか、という疑問が本書を生み出すきっかけである。
(中略)まちの居場所は、利用者が主体的に環境に働きかけ獲得する場所である。誰かが自分のために用意してくれている場所ではない。しかし、探せば必ずまちのなかにある。居場所がないと感じられている方は、是非自分の居場所を自分のまちで発見して頂きたい。また、もしそのような場所が自分の住むまちに少ないと感じられたら、積極的に新しいまちの居場所を作って欲しい。そのような居場所探しや居場所づくりの参考になるように、本書は編集している。
(「はじめに」より抜粋)
目次
(1)やゑさん家 (2)グループホームなも (3)はっぴいひろば (4)ひがしまち街角広場 (5)ワタミチ (6)育ち愛ほっと館 (7)佐倉市ヤングプラザ (8)フリースクール東京シューレ (9)紺屋2023 (10)仮設de仮設カフェ (11)親と子の談話室?とぽす (12)下新庄さくら園 (13)いちょう団地 (14)覚王山アパート?覚王山商店街 (15)プレーパーク烏山 (16)万代池公園 (17)御射山公園 (18)島原湧水群「浜ん川」洗い場 (19)湊町リバープレイス
(1)地域住民の立場からまちの居場所を語る (2)行政の立場からまちの居場所をつくる (3)専門家の立場からまちの居場所をつくる
(1)居場所が変える都市と建築 (2)居場所に見る新たな公共性 (3)こどもの居場所 (4)高齢者の居場所
2003-2010, Space Design Laboratory, JISSEN Univ.