出版社:学芸出版
出版年:2018年3月
編集: 日本建築学会
われわれは、高齢化と人口減少社会に相応しい新たな発想を求め、計画研究者13名のチームを作り、2014年度から2017年の4カ年にわたってさまざまな地域を訪ね、そこでの福祉転用の取り組みとそこで活動する人びととの対話を重ねてきた。訪問先は日本にとどまらずスウェーデン?イギリス?オーストラリアなどの異なる歴史や文化を持つエリアも含まれている。そこから見えてきたことは、「幸せなまち」とは「こどもが生まれ育ち、高齢者や障害者を含む多様な人々があんしんして生活し、そこで築かれたライフスタイルや文化が住み継がれるまち」であるという当たり前の事実であった。
本書はその当たり前の事実の再確認を常に念頭に置きながら、国内外の福祉転用事例の実態調査と考察からわかった福祉転用計画の企画?設計?運営のあり方をまとめたものである。
(中略)
だれもが、自分の住む地域が多様な人びとが安心して生活し、住み継がれる「幸せなまち」となることを臨んでいる。その有効な事業の一つである福祉転用は、始まったばかりである。これからの半世紀の人口動向から見ても、この仕組み作りはますます重要となる。本書が福祉転用を始めようとする事業者や建築に携わる専門家のみならず、地域の福祉にかかわる方、地域の再生にかかわる方、そして次世代を育成する立場にある方にも有用な手がかりとなれば望外の喜びである。
(「はじめに」より抜粋)
目次
2003-2018, Space Design Laboratory, JISSEN Univ.