出版社:彰国社
出版年:2014年4月
編集: 小野田泰明?鈴木雅之?鈴木義弘?伊藤俊介?渡邉朗子
「建築計画」を単純に「人間」と「空間」の対応であると規定したとします。その場合でも、「人間」という行為主体の「行為」系(ひとのふるまいをどう解釈するのか)に着目するのか、公か民か/共か私かなどという「主体」系でとらえるのかによって見方は大きく異なってきます。また、「空間」という対象領域は、開くか閉じるか、あるいは、拡張するのか縮小するのかという方向性についてのコンセンサスは一義的には定められずにますます多様化しており、これら相互の対応関係は、「建築計画」という学問成立当初のように不特定多数を対象とした建物種別(ビルディング?タイプ)ごとの認識はもはや成り立たないことは自明ですが、よりどころとしたい境界領域は不可視化への一途です。
(中略)
本書は、建築設計を行う際の人間工学的数値を示すものでもなく、現象を観察する際の機械論的認識に導くための教科書=知見の集積でもありません。構想に行き詰まったとき、複雑な関係性のなかから解を見いだそうとするときに、創発性を喚起することを目的として、行為と空間と操作の組み合わせにより抽出した10項目のカテゴリーと重要なキーワードを通して、発想のヒントを提示しようと企画したものです。
いかに建築計画研究が、学術的な理念にとどまらず実践的にも有用であるか、創造のための「建築のサプリメント」になるかについて、理解を深めてもらえると幸いです。
(「はじめに」より抜粋)
目次
2003-2014, Space Design Laboratory, JISSEN Univ.