Studies:卒業論文の進め方 4



卒業論文のキモ

(1)自分でテーマに関する問題意識を深め、自分なりの意見を言えるようになること。

(2)テーマを面白がること、わくわくすること。とくに制作の場合には、自分がわくわくして創らなければ、見る人をわくわくさせることはできない。

(3)自分の意見に説得力を持たせるための、客観的なデータを示したり、理論的な文章を書いたり、具体的な提案を行うこと。


問題意識を深めるために

(0)問題意識とは

 「問題意識」とは、自分がもっとも大事にしたい「問い」のこと。どのようなテーマに取りかかるにしろ、その問題をどのように捉え、そこにどのような「問い」を発するか、ということが最も重要である。どんなテーマであっても、大事な、自分だけの「問い」を見出すことは可能である。その意味では、テーマそのものよりも、「問題意識」こそが本質的であると言える。つねに物事をいろんな角度からみて、さまざまな問題を絡み合わせて考えるように訓練していくこと。

問題意識を深めるための問いを発してみる


(1)読む

 ひたすら読む。本には、自分の知らない知識や方法、考え方が豊富に含まれている。自分のテーマに関する本に数多く目を通し、先人の知恵を少しずつ手に入れる。

 自分のテーマに合致する本がすぐに見つかるとは限らない。図書館等にこもって、何冊も目を通していく。慣れてくると、ざっと見るだけでも、自分にとって重要な内容が含まれているかどうか気づけるようになる。

 自分のテーマを取り巻く社会的背景がどうなっているか。世の中の最近の動きがどうなっているのか。どんな問題点が取り上げられているか。誰がそうした問題に対してどんな取り組みをしているのか。

(2)勉強する

 慣れてきたら、研究論文などにも目を通していく。それぞれの論文において、どのような問題を設定しているのか、どのような手法で取り組んでいるのか、どんな結果が導き出されているのか、読み込んで参考にする。なるほどと思えるような論文があれば、なぜその論文に説得力があるのかを考え、分析方法や書き方などを積極的に真似してみる。

 論文を読む際に、「意見+論拠」という構造を頭において読むとよい。この論文では要するにどんなことを言いたいのか(意見)を読み取り、そのための論拠として、データや分析が説得力をもっているかどうか、読み取るようにする。

(3)調べる

 自分のテーマの対象について、いろいろな角度から調べてみる。地理、歴史、文化、社会的データ、最近の傾向、人々の意見、えらい人の見解、、、

 対象地がある場合には、地理、地形、物理的な環境要素、店の数や種類、配置、緑の量、見た目、人などの流れ、そこで行われていること、その時間的な変化、、、

 さまざまな方法で情報を手に入れること。本を読んで調べる。統計調査などのデータを探してみる。新聞などを遡ってみる。過去の雑誌に網羅的に目を通してみる。地図や平面図などの情報を手に入れる。現場にいって測定する。その筋の人に話を聞く。

(4)見学に行く

 実地に行って、その場所について、その空間の環境について、そこにあるさまざまな要素や配置について、そこでの人の行動について、その場所の運営のされ方について、いろいろと触れてくる。

 実際に見たこと、聞いたことには、必ず大事な内容が含まれている。自分で見てきた第一印象や感想も、話のとっかかりとして重要な情報である。何かちょっと面白いと思ったり、疑問に思ったりしたことをこまめに記録すること。印象はすぐに薄れてしまうので、必ず気付いたことをしっかりとメモしておくこと。

(5)誰かに話を聞いてみる

 自分で考えているだけでは具体的なことが分からないので、手近な人をつかまえて話を聞いてみる。その人の生活の様子はどうなのか。自分の考え方がその人にもあてはまるのか。自分の取り上げたい問題に対する意識や考え方はどうなのか。

 アンケートをとる場合でも、まずは聞きやすい人に直接話を聞く。自分の考えていることがピント外れでないか。自分の聞きたいことが相手にうまく伝わるか。自分の求めているような形での回答が得られるか。自分の(相手に対する)質問の仕方がわかりやすいか。


2003-2008, Space Design Laboratory, JISSEN Univ.
Status:2008-02-20更新