SpaceDesign Labo, JISSEN Univ.
Studies:卒業論文の進め方 3
卒論に必要なもの
(1)自分の意見
一番いいたいこと、大事だと思うこと
論文の目的でもあり、最後のまとめでもある
何のためにこの論文を手がけたのか、その結果として「自分としては」どんなことを言いたいのか
さまざまな「問い」に対して自分なりの答えを出すこと
たとえば
- 世間の常識に異議を唱える
- 既往研究の結果を強化する
- 何か現状の問題点を指摘する
- それに対して提案を行う
- 自分の発見した価値を伝える
- 現状を整理して知られざる傾向を伝える
- 世界を理解するための枠組みを提示する
- 世の中の動きに警鐘を鳴らす
意見のない論文とは…
- まあ粗大ゴミのようなもの(ゴミのような論文はたくさんあるが…)
- 一体何をしたかったのか人に伝わることもなく、当然評価されることもない
- 1年間無駄に苦労したことになる
(2)その論拠
自分の意見に説得力を持たせるための材料・判断基準・理論の根拠
どうすれば説得力が増すのかを考え、自分の意見にふさわしい根拠の示し方を見つける
自分の意見に対して、いろいろな角度からの疑問を考え、その疑問に対して自分の意見の正しさを答えられるように、材料を用意する
基本的に、論拠は「事実+考察」として示す
たとえば
- 多くのデータで示す
- 人の意見、実験の結果、現場での調査、様々な数値
- 全体の傾向を示す、比較を行う、データの当てはまるモデルを作る
- 物語で示す
- 少ないものから深い意味を読み取って示す
- 個別のデータから一般化できる内容を示す
- 虎の威を借る
- 理論的に語る
- 筋道のたった理論を組み立てて論破する
- 理論的なモデルや公式にあてはめてみる
論拠のない論文とは…
- 単なる感想文か愚痴のようなもの
- 言いたいことがあることはわかるが、説得力をもたないし、伝わらない
- 少なくとも苦労した痕跡が伝わらない
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制作に必要なもの
作品とは、基本的に自分の意見のかたまりそのものであるので、「自分はこのデザインによって何をどうしたいのか」という強い意見(信念・情熱・コンセプト)は何が何でも必要。
作品が完成する前から、自分の作品のポイントや魅力を強調して語れるように。
意見のない作品とは…
- 基本的に面白くも何ともない
- 見せ場もなく、迫力もなく、伝えたいものもなく、当然誰かの心に訴えることもない
- 何のために作ったのか、何を作ったか自分でもよく分からなくなり、達成感も乏しい
制作に論拠は必要だろうか?しかし、デザイン力のみで人を説得するには、相当な力量(デザインの力量・プレゼンテーションの力量=天賦の才能+日常的な努力+情報収集力+…)が必要。デザイン力だけで勝負できないと思う人(おそらくほとんど全員が当てはまる?)は、自分の計画に説得力をもたせるための論拠を組み立てていくことが大事。
- どうしてこのような計画をしたのか
- 現状をどのように把握しているのか(対象敷地の現状、周辺の現状、社会の現状、今後の展望、等々)
- 現状に対してどのような課題を見いだしたのか
- 何をどのように改善したいと考えたのか
- 自分の提案はそれらの課題にどう答えようとするものなのか
- 自分でどのような設計条件を与えたのか
- この提案によってどのような魅力が生まれるのか
- 周辺に対する影響はどうなるか
などなど、さまざまな側面から、ある程度の理論武装をしておく必要があるだろう。
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2003-2008, Space Design Laboratory, JISSEN Univ.
Status:2008-02-20更新