エドワーズ,マイケル?アンソニー先生
スコアのためではない英語を学ぶ意義を感じてもらうために、
「Affective factors in language learning」を重視。
エドワーズ,マイケル?アンソニー
Edwards, Michael?Anthony
国際学部 国際学科 准教授
専門分野?専攻 言語学、英語教育学
Edwards, Michael?Anthony
国際学部 国際学科 准教授
専門分野?専攻 言語学、英語教育学
[プロフィール]アメリカ?カルフォルニア州出身。サクラメント州立大学卒業、サクラメント州立大学大学院修了。武蔵野大学、淑徳大学で専任講師、玉川大学、清泉女子大学、津田塾大学で非常勤講師、同志社大学で准教授を務め、実践女子大学短期大学部英語コミュニケーション学科准教授を経て、2024年4月より現職。専門は、言語学、英語教育学。
「英語教授法」という専門性を、世界に飛び出すための切符に
故郷はアメリカ?カルフォルニア州。サクラメント州立大学を卒業後、大学院に進学しました。専攻は英語教授法。好奇心が強く、広い世界を見てみたいと思っていた私は、英語教授法という専門性を身につければ、それが世界に飛び出すための切符になるだろうと考えました。そして、第2言語として選んだのが日本語でした。日本人留学生の友人ができたこともあり、冒険心をかき立ててくれる日本への興味はますます強まり、思い切って大学院を休学して日本へ。神奈川県相模原市でALT(外国語指導助手:Assistant Language Teacher)の職に就きました。さまざまな生徒に英語を教える中で自分自身の学びも得る一方、日本の英語教育の弱点にも気付かされ、数年後にアメリカに帰国。大学院に復学し、サクラメントの著名な教育委員会の代理教師になりました。そこでは、体育を教えることもあれば、図書館の業務を担当することもありました。その後、再び日本に戻り、今度は幼稚園で英語を教えることに。対象は3~5歳児。直前まで中学生を相手にしていた私にとっては新たな挑戦でしたが、アメリカと日本の両方、さらには幼稚園、小学校、中学校、高校とさまざまな年代の子どもたちを教えてきた経験が教育のスキルを磨くのに役立ち、現在の私の強みになっていると感じています。
日本の大学では、桜美林大学でゲストスピーカーを依頼されたのを機に、武蔵野大学、淑徳大学で専任講師、清泉女子大学、津田塾大学で非常勤講師を務め、同志社大学では准教授として英語教育に従事しました。これが、実践女子大学の教壇に立つまでの私の経歴です。
地図上の「発見」からアメリカ合衆国に編入されるまで。ハワイの歴史を学ぶことで、国際人として必要な知識の基礎を身につける
大学の英語の授業では、題材として、アフリカ系アメリカ人の歴史や日系アメリカ人の歴史、ハワイの歴史などを取り上げました。これをきっかけとして、私は、ハワイの歴史に強い関心を抱くようになり、いつしか研究にのめり込むようになりました。
ハワイといえば、世界的に有名なトロピカルリゾートというイメージが強いですよね。そのハワイを「発見」したことで知られるイギリスの海洋探検家ジェームス クックは、ハワイ諸島の位置を初めて地図に記載した人物です、 1778年のことです。1810年、カメハメハ大王はライバルを破り、島々を統一しました。 1893年になると、入植していたアメリカ人宣教師の子孫たちが、アメリカ政府のサポートを得てクーデターを起こし、王国を転覆させました。その結果、成立したのがハワイ共和国です。数年後にアメリカ合衆国のテリトリーとなったハワイは、1959年、第50番目の州として編入されることになり、今日に至ります。
大陸から遠く離れた太平洋の真ん中に位置するこの美しい島国は、比較的最近になって外界と接触し、西洋文化を取り入れ、米国の一部となったことから、その歴史は非常に興味深いものとなっています。
私はこれまで、ハワイ島民と「haole」(外国人、特に白人を指す言葉)との出会いや、ハワイ諸島にもたらされた新たな病気などの観点からハワイの歴史を研究してきました。 現在はハワイ王国で最も長く在位した王、カメハメハ3世に焦点を当てて研究を行っています。 授業では、研究成果を踏まえ、ハワイの歴史についても取り上げる計画です。
「Affective factors in language learning」の種を植えるために
日本で英語教育に携わるようになって感じるのが、「英語はできません」と言う人がとにかく多いこと。これは自己効力感のなさかからくる言葉だと思います。しかし、国際人を目指すのであれば、英語をはじめとする外国語のスキルが不可欠です。外国語を習得すれば、確実に視野が広がります。また、外国語の学習には脳を刺激したり、注意力の持続時間を改善したり、創造性を高めたりするといったメリットもあります。母国語である日本語の能力や記憶力も向上させますし、マルチタスクのスキルの構築にも役立ちます。さらに、自尊心を高め、将来のキャリアの選択肢を増やしてくれます。
私が担当する授業の一つ「Integrated English b」では、英語でのさまざまなアクティビティを通して、「Listening」「Reading」「Writing」「Speaking」の4技能の向上を目指します。アクティビティの一例が、グループワーク形式の能動的な学習「3-Way Speaking」です。具体的には、まずメンバーの一人が、あるテーマについて書かれた文章を読んで10個の単語をメモします。そして、この単語だけを見て、文章に書かれていた内容をほかのメンバーに英語で説明します。それを聞いたメンバーは説明の内容を英語で書き取り、最後は、その内容から出題されたクイズに答えます。話し手には「Reading」と「Speaking」、聞き手には「Listening」と「Writing」のスキルが求められ、どれか一つでも欠けるとクイズに正解できないため、学生たちは常に高い集中力を持って取り組んでいます。
このようなアクティビティは学生からも好評ですが、これだけで英語力を養えるわけではありません。やはり、語彙力をはじめとする基礎的な英語力はそれぞれが努力して身につける必要があります。その際に最も重要となるのが「Affective factors in language learning(言語学習における情動的要因)」です。いかに英語学習に対するモチベーションや好奇心、自主性を引き出し、学習の習慣や心構えを身につけさせ、達成感を味わわせることができるか——。今日より明日、明日よりあさってと、日々能力を向上させていくには、この「情動的要因」が欠かせないことを、これまで日本語を学んできた私自身が誰よりも実感しています。だからこそ、学生たちに、その種を植え付けることが、教員である私の役目だと考えています。
2024年4月、ついに国際学部がスタートしました。私は、英語学習に対する情動的要因を重視することで、単なるスキルアップではない英語力が身につくよう、本気で学生の皆さんに寄り添っていく覚悟です。学びに最適な環境づくりのため、常にユーモアを忘れないのはもちろんのこと、学生がスクラブル(ゲーム)や英語での映画鑑賞などを通して自主的に英語を学べるスペース「Common Room」の創設も企画し実現させました。Common Roomには「会話は英語のみ」というルールがありますが、熱意のある学生たちで早くも賑わっています。2年次後期の留学を目指す以上、1年次、2年次前期は必然的にハードワークになりますが、誰もが必ず成功できます。だから、「英語はできません」とはもう言わないでください。シートベルトを締めて、出発の準備をしましょう!