本展では当館所蔵品から5人の作家を取り上げます。未だ女性が男性同様の美術教育を受けることが困難であった時代に、有馬さとえ(1893-1978)は岡田三郎助の指導を受け本郷洋画研究所にも通い、文展、帝展に出品を重ねました。帝展洋画部門で女性初の特選を受賞し、戦後も日展に出品を続けました。後に舞台美術家として知られる朝倉摂(1922-2014)は、伊東深水の画塾で日本画を学びますが、戦後は佐藤忠良らと炭鉱や漁村に写生旅行をおこなって労働者を描き、新しい表現、技法を試みました。毛利眞美(1926-2022)は1950年に単身渡仏し、アンドレ?ロートの画塾での学習を経て、幾何学的な構成と鮮やかな色彩による女性像を発表し、注目を集めました。また小林喜巳子(1929-2023)、招瑞娟(ZHAO Ruijuan 1924-2020)は1946年に東京美術学校が女性の入学を認めた一期生で、小林は安井曾太郎に学びました。戦後日本では中国の木刻から刺激を受けた民衆版画運動が展開しますが、小林と、神戸の華僑の家庭に生まれた招は、それに参加した数少ない女性作家であり、現代社会に対し鋭い目を向ける作品を残しました。
当館では2017年に朝倉の個展を開催し、2020年に有馬の小展示をおこないました。今回新たな3作家の新収蔵作品を加え、女性たちが戦後の新体制のなかで強い意志を持って制作に向かった姿をご覧いただきたいと考えます。
会 期 :2024年7月1日(月)~8月3日(土)
開館時間:10:30~17:00
休 館 日 :日曜日 ※ただし7月21日(日)は開館
入 館 料 :無料
会 場 :実践女子大学香雪記念資料館 企画展示室1?2
主 催 :実践女子大学香雪記念資料館
後 援 :渋谷区教育委員会