Space Design Labo, JISSENUniv.
2023年度卒業研究 空間デザイン研究室 富所友香
インターネット(以下ネット)の使用が生活に欠かせなくなり、様々なアプリケーション(以下アプリ)を使いコミュニケーションや動画視聴などを楽しんでいる。特に若者は長時間ネットを使用しており、どんなアプリを何のために、どのように使用しているかは多様である。本研究では、実践女子大学生を対象に日常生活におけるネットの使用目的について調査し、理由や考え方を明らかにする。
11月?12月の期間、実践女子大学生19人に3日間の生活とネット使用に関する記録調査を行った。起床後から就寝までの3日間の生活と使用アプリと時間、内容を記録してもらった。これを基に使用目的や使用方法などの質問調査を実施した。
19人の1日の平均利用時間は7.1時間。使用アプリは動画が最も長く、次にSNS、音楽となった。使用時間に注目した時、時間が長い人ほど目的やネットの役割が曖昧である。また時間が短いほどゲームや漫画などの趣味性の強いアプリの使用がなくなり、集中的な利用が増える。19人の中でも特徴的な使い方をする人に注目すると、日によって使用するアプリと時間帯が異なる人、1つのアプリの使用が圧倒的に多い人などがいた。
① 目的に注目
「趣味」が最も多く次に「ルーティーン」「BGM」「情報取集」である。「趣味」として利用されるアプリは動画やSNS、テレビが多く、「ルーティーン」には音楽があり、決まった時間にとりあえず付ける。「BGM」は音楽だけでなく動画なども作業の背景で流し「情報収集」はWEBよりもSNSが中心。使用目的は、動画、漫画、ゲーム、WEB、テレビは趣味に偏っている。音楽はBGMよりもルーティーンとして使用され、時には周囲の音を遮断するものとしても用いられる。SNSはコミュニケーションや情報収集、趣味、気分転換など最も多くの目的で利用される。
② 利用時間帯に注目
ネットの利用時間帯では、9時?12時と21時?24時にピークがあり、起床後と就寝前に利用が高くなる傾向にある。起床後?出かけるまで?帰宅後?就寝前の時間にとりあえずネットに接続する生活が定着していると推察する。また利用時間の長いSNS、動画、音楽に注目すると全体的に似た傾向になり、起床後にとりあえずアクセスする生活が定着していると推測する。
③ ネットと現実との繋がり
ネットと現実が繋がる行動には、SNSでのコミュニケーションと投稿に反応を示すことが最多だった。その他、動画?SNSなどを見て料理を作る?メイクの参考にする、WEBやSNSでお店や商品の情報収集をして実際に行く、音楽で周囲の音を遮断することで自分の世界に集中する、買い物アプリで商品を見比べ実際に購入することがあった。
個人の利用目的から心地よい空間を創る、習慣化、時間潰し、好きなことを楽しむ、コミュニケーション、気持ちの切り替え、新たな情報を得ることがネットの役割として挙げられた。また、自分の成長に繋がる学習や知識?技術を向上するための利用は少ない。情報取集も知らないことや知りたいことを検索するより最近の流行や興味関心のある最新情報を入手するものがほとんどである。SNSは情報収集のための利用が多く動画、音楽、SNSなどはルーティーンとして習慣化している。積極的?能動的使用というより習慣化やとりあえず流れてくる情報に触れる。
(図1)個人のネット利用時間
(図2)アプリごとの使用目的割合
(図3)ネットの接続時間と用途