SpaceDesign Labo, JISSEN Univ.
2022年度卒業研究 空間デザイン研究室 鶴間彩衣
2022年の夏休み期に、実践女子中学校?高等学校で職員室の改修が行われた。デスク回りの荷物が多く、見た目も悪く、移動もしづらい状況の改善を目的とし、デスクや什器を一新し、生徒とのコミュニケーションスペースを設けるなどの改修が行われた。ただし全体の配置は大きく変えていない。この改修のもたらす影響について考察する。
改修前の職員室環境について、デスク回りの使い勝手については評価が高く、教員の休憩やスキルアップなどについては評価が低かった。改修要望の高かった項目は、他の教員との情報共有や交流、生徒の相談環境等に関するものであった。改修後に改善されたとする項目は、デスク回りの収納や作業のしやすさ、全体の荷物の多さ等であり、当初の目的が反映されたと言える。ただし改修前に要望の高かった上記項目については、あまり改善されていない結果となった。
自由記述から、デスク回りの環境や荷物の多さ等に対しては改善が認められる。従前のデスクや収納量が維持され、使い勝手も良くなった事、職員室内の荷物が整理された事が評価されている。ただし、全体に色が統一された事で、物品のあり方が分かり辛くなったなど、物品管理?共有に関する課題も生じている。一方、生徒との相談環境や衛生環境については、スペースが限られ、使い勝手がかえって悪化したとする意見が得られた。
改修前?後を通して、教員の意見を言える場がない、教員の意見を聞いて反映させてほしかった、とするコメントが多く得られ、かなり一方的に改修が進められたと感じている教員も少なくない事が推察された。
職員室内の教員の移動および滞在の様子に着目した。配置そのものにほとんど変化がない為、改修前後で大きな変化はなく、職員室内での行動には大きな影響を与えていない事が分かる。 生徒とのコミュニケーションスペースについては、コロナ禍にあってまだ検討中の段階で、今回の結果には反映されていない。
個別のデスク回りと職員室全体の見た目に関しては改善されたが、教員側が感じていたその他の課題については改善されたとは言えない。今回の改修のプロセスに教員の要望?意見が反映される仕組みがなく、また改修後の共有空間の使い方や物品共有の方法についても議論されていない事がこの結果に繋がっていると思われる。この改修をより有効なものとするには、今後、教員間の意識の共有やルール作り等を進めていく必要がある
(表1)調査方法
(図1)職員室概要
(図2)デスク回りの評価(グラフ)
(図3)生徒の相談環境評価(グラフ)
(表2)自由記述コメント(抜粋)
2003-2022, Space Design Laboratory, JISSEN Univ.
Status: 2023-02-10更新