SpaceDesign Labo, JISSEN Univ.
2022年度卒業研究 空間デザイン研究室 竹田あゆ
近年、三世代世帯の減少による核家族化の進行などにより、周囲との関わりも大きく変化してきている。これにより、異世代と交流する機会の減少が見られる。人と人のつながりが希薄化している現代にこそ、子どもにとって多世代と関わることに意味があるのではないか。今回は5歳差を異世代と定義とし、様々な異世代同士の交流の現状と質に着目し、子どもが異世代と関わることにどのような意味があるのかについて分析する。
幼稚園から現在までの間、異世代と交流した際の状況のエピソードについてヒアリングを行った。
〈調査実施時期〉2022年7月~11月
〈調査対象者〉大学 3、4 年生の女子大学生
ヒアリングした内容を「年代」「場所」「相手の性別?年齢」「交流の生まれ方」「立ち位置」などの視点から分析した。30人にヒアリングをした結果、289エピソードを抽出した。(表1)
年代ごとにみると、幼稚園~小学生の時は多く、中高生以降は減少する。場所で見ると、地域で起きた交流が圧倒的に多い。近隣の家、通学路の周辺、地域の祭りなどが多い。その他、習い事を通して交流が半数以上、親戚との交流は半数以下だった。
(1)交流の生まれ方の分類
交流の生まれ方について、表2の3種類に分類した。全体には「用意された場」よりも、「自然と生まれた交流」が多く、年上の相手から話しかけてきて交流が生まれる場合が多い。
(2)立ち位置の分類
交流の立ち位置の「主体的?受動的」について、表3の3種類に分類した。自主的な交流の中でも、アルバイト中など自分から動かなければならないもの、親戚などは家族に近い立ち位置で自然に自主的に交流できるものがある。受動的な交流では、学校の授業の一環で世代間交流など、強いられた交流で自主的な交流に繋がっていないものがある一方、近隣の人やよく行く店など経過日数によって自主的な交流に変化したものもある。
交流の生まれ方と立ち位置の両者から図1の9パターンが見出せた。このうち、右下の4パターンは交流する世代の幅が広く、残り5パターンは狭く限定的になる傾向が見られた。こうした幅広い交流をもたらす状況としては近隣の人や地域の店、あるいは家族を介した交流などが挙げられる。
関わる世代の幅が広いと、必然的に交流の機会も増えて新しいつながりが生まれる。幼少期から幅広い世代と関わりを持つことで、新しい学びや新しい価値観に触れる機会も増えていき、交流する際の自主性が養われたい。他の世代との関わりに対する抵抗感や苦手意識も減っていくのではないか。
(表1)抽出したエピソード数
(表2)交流の生まれ方
(表3)交流の立ち位置
(表4)交流の相互性
2003-2023, Space Design Laboratory, JISSEN Univ.
Status: 2023-02-10更新